しえりおりぱ日記(闘病編)

還暦の英語教師、カウンセラー。入院を機に始めてみたブログ。しえりおりぱ=しえり&いおりの半端なパパ。

血糖コントロールを頑張る同士たちへ

「血糖コントロールを頑張る同士たちへ愛をこめて」
ある糖尿病専門医の著書に書かれた言葉に目が留まり、しばらく読み進めませんでした。
この女医さんは11歳で1型糖尿病と診断され、もう30年以上も毎日4回のインスリン注射と血糖値測定を続けているそうです。

前々回、私の一日の食事と運動の流れを紹介しましたが、決して楽しんでやっているわけではありません。
毎食後に運動するのは面倒だし、忙しさにかまけて忘れそうになることもあります。
一定期間なら頑張れても、これが一生となると、とても続けられるとは思えません。

実際、緩徐進行1型糖尿病の場合、食事や運動で効果が出るのは初期の段階だけ。
そのうちすい臓のインスリンが枯渇し、インスリン注射に依存するしかありません。
結果が見えているのなら、最初から努力しても無駄ではないか、とさえ思えてきます。

明日が退院後初の外来受診ですが、これがこの先毎月、死ぬまで続くわけです。
まるで受験生が、遊ぶのを我慢して日々勉強に追われ、毎月模試を受けるようなもの。
それでいて大学入試に合格し、これで晴れて自由の身、となる日は来ないのです。

「浜までは 海女も蓑着る 時雨かな」(滝瓢水/江戸時代の俳人

これから海に入る海女さんたちが、雨が降ってきたので、蓑を着る情景です。
「どうせ」濡れるのだけれど、「だからこそ」いま自分の体を大切に扱う所作。
もうやっていられない、という気持ちを抑え、自己管理を続けようと思います。

感謝の気持ちで「墓じまい」を考えます

今年最後の月になった今日、墓参りに行ってきました。
父方と母方の2つの墓がある、広大な市営墓地です。
猛暑が続いた影響か、まだ秋のような涼風が、ススキを揺らしています。

「こうして眺めると、みんな死んでしまうんだねえ」
足もとのおぼつかない母が、ため息をつきながらつぶやきました。
母は3年前に弟をがんで突然失い、いまだ立ち直れずにいます。

うちの家系には跡継ぎがいないので、私の代で途絶えることになります。
父には申し訳ない気持ちですが、いよいよ「墓じまい」を考えねばなりません。
母の言う通り、何事もいつかは終わりがくるので、清々しく生きようと思います。

父は間もなく90歳、母は要介護、妹は指定難病、私もまた不治の病をかかえました。
人生は幸不幸のくり返しですが、高齢者4人で協力し合い、なんとか暮らしています。
全員が無事?この世を去るまで、前向きに楽しむことを忘れず、支えていく覚悟です。

糖尿病患者の私の食事と運動内容です

<朝食>
1.レモン果汁+リンゴ酢+水(or白湯)
2.無調整豆乳+牛乳+プロテイン+青汁+イヌリン+コラーゲン+亜麻仁油(orオリーブオイル)
3.無糖ヨーグルト+ブルーベリー+玄米フレーク
4.エスプレッソコーヒー(ブラック)
5.低糖質パン

【運動】
出勤後にスクワット・カーフレイズなど

<昼食>
1.野菜サラダ
2.ゆでたまご
3.チキンなど
4.玄米おにぎり
5.桑の葉

【運動】
職場隣の公園を速足ウォーキング
階段の上り下り

<間食(少々)>
1.チーズ
2.素焼きミックスナッツ
3.ハイカカオチョコ(86%)
4.無添加トマトジュース
5.ブラックコーヒー・シナモンティーレモングラスティー・生姜茶など

【運動】
バックランジ・ジャンピングジャックスなど

<夕食>
1.野菜サラダ
2.ゆでたまご
3.シーチキン
3.肉料理
4.雑穀ごはん

【運動】
A.ジムでウェイトトレーニング有酸素運動(2日に1回)
B.自宅で自重トレーニング・空手鍛錬・ストレッチ

<補食>
プロテイン+無調整豆乳+牛乳

毎日、ざっとこんな感じです。
血糖値スパイクを緩やかにするため、入院中から毎食後に軽い運動を続けています。
筋トレで使うウェイトは、血圧や血糖値の急上昇を抑えるため、以前の3分の2まで落としています。

管理栄養士から指示された一日の消費カロリーは1600kcal、糖質は235g(1食78g)まで。
ベジファースト、ミートセカンド、カーボラストの順番で食べています。
糖質制限で味覚が鋭くなったのか、最後にいただくお米の甘みが、実に美味しく感じます。

ごはん100g(コンビニのおにぎり1個)に、糖質が40g含まれています。
商品を買うとき、栄養成分表示の炭水化物(糖質)を、必ずチェックするようになりました。
何も知らずに飲み食いしていた過去が、恐ろしくなります。

健康情報の洪水に溺れそうなときの考え方

自身も糖尿病である、和田秀樹医師の本やYouTubeによると、「高齢者は血糖値も血圧もコレステロールも下げなくていい」そうです。
彼はHbA1c10、血糖値300を上限として高めに保ち、インスリン治療そのものに警告を鳴らしています。
糖尿病患者は認知症になりにくく、治療による低血糖こそ、命に関わる危険があるのだと。

入院中に指導された内容と真逆であり、しかも医師の発言なので、一体何を信じればいいのか迷ってしまいます。
ある健康法がブームになると、必ずといっていいほど、それを真っ向から否定する専門家が出てきます。
まるで、乱立する新興宗教の争いの様相です。

40年近いつき合いの同期に和田医師の信奉者がいて、職場の定期健康診断の結果も見ず、好きなものを食べて元気いっぱいです。
彼によると、「節制するストレスこそ万病のもと」だそうで、自覚症状がない限り医師や病院とは無縁です。
すでに還暦を過ぎており、めったに調子を崩さないので、それなりの説得力があります。

一方、幼少期から病弱だった私は、自他ともに認める健康オタク。
それなのに次々と怪我や病気を呼び込み、病院通いが途絶えることがありません。
だからといって、いまさら彼のように路線変更できる性分でもないし、彼もまた同じでしょう。

正反対に見える私たちの唯一の共通点は、自分らしさを貫いた結果、「これで早死にしても仕方ないな」という覚悟。
ただ長生きすればいいのではなく、健康寿命をいかに生かし切るか、がすべてだと思っています。
人それぞれ、運も縁も体質もメンタルも、個人差があるのだから。

「痛みなくして得るものなし」で人生再起動

サクセス・ストーリーよりも、どん底から立ち直る「再生復活物語」に心が動きます。
その意味で、NHKETV特集「リハビリで生きなおす」には、大きなインパクトを受けました。
脳梗塞で手足が麻痺した患者たちが、極限まで追い込むリハビリを受け、在宅復帰するドキュメンタリーです。

中高年から90代の高齢者まで、必死の形相で汗だくになって、毎日3時間のリハビリを耐え抜きます。
「安静は毒」がモットーの病院で、「早期・高負荷・長時間」が原則の厳しいトレーニングが、延々と続きます。
患者たちは「絶対に家に戻る」ことを目標に、キツくても「なにくそ」と頑張り、驚くような回復を遂げていくのです。

まさに“No pain,no gain.”(痛みなくして得るものなし)。
長年空手や筋トレに励んできた者として、ピンとくるものがありました。
真面目だストイックだと言われても、「がんばらない」発想には馴染めない昭和世代。

出演者たちを見て、まだまだ自分を甘やかしていたな、と反省させられました。
正直なところ最近、糖尿病患者向けの無難でゆるい食事制限や運動療法に、物足りなさを感じていたのです。
無茶をしない程度に、自分らしい鍛錬に軌道修正して、人生再起動を図ろうと思います。

「糖尿病の主治医は自分自身」なのでしょう

以前も書きましたが、糖尿病には大きく分けて、2型と1型があります。
2型は全体の97%を占め、生活習慣の影響が大きいので、食事改善や運動療法が有効です。
1型はわずか3%で、すい臓からインスリンが出ないため、インスリン注射が命綱です。

私はその中途半端に位置する、「緩徐進行1型糖尿病」です。
たぶんコロナウイルスが引き金で、すい臓の細胞が破壊され、インスリンが徐々に減ってきています。
わずかな自前のインスリンが、いつ枯渇するのかわからない、まるで○○宣告を待つ囚人のようです。

人気医師ユーチューバーによる、情報やアドバイスは、数えきれないほど出てきます。
しかしほぼ全てが、市場の多い2型患者向けであり、1型の参考にはなりません。
書籍も同じで、私の知る限り、一般向けの1型本はわずかしか出ていません。

1型患者ユーチューバーは何人もいますが、緩徐進行1型の人は、まず見かけません。
1型で見てみると、「緩徐進行1型はまったく別なので…」と話しておられます。
まるで自分がイソップ物語の、鳥でもけものでもない、コウモリみたいな気がします。

緩徐進行1型として、2型と1型どちらの対処をすればいいのか、わかりません。
糖質制限がいいのか、炭水化物を最後に食べる(カーボラスト)べきか、運動の強度はどこまで上げていいか。
インスリンさえ打っておけば、食事や運動は関係ないのか。

マイナーには「これ」といった決め手がないので、いろいろ迷ってしまいます。
治療は医師に任せても、日々の生活による影響は、自分次第だからです。
「糖尿病の主治医は自分自身」という言葉通り、学習と実践を重ねるのみです。

人の「見えない背景」にも陽が差しますように

「体調はいかがですか?」
日々職場で、このような声かけをいただくようになりました。
発病から入退院後も大切に扱っていただき、いい職場と同僚に恵まれて感謝です。

一方で、糖尿病自体には、痛みなどの自覚症状がありません。
深刻な合併症のリスクをかかえ、24時間血糖値を気にしながら、一生通院と自己管理を続けねばなりません。
見た目は元気なので、本当の大変さが理解されにくいのが辛いところです。

それを思うと、カウンセラーとして20年間サポートしてきた、不登校や発達障がいの生徒たちの生きづらさも同じでしょう。
「見える障がい」であれば、誰もが進んで手を貸そうとしてくれます。
しかし「見えない障害」になると、どうしても「怠け」「甘え」「弱さ」などの誤解を生んでしまうのです。

もちろん大人も、情緒不安定な言動をされる方が非難されるとき、「見えない背景」が原因である場合も多いようです。
幼少期のトラウマ、家族関係、経済状況、病気、精神疾患、ショックな出来事から立ち直れないなど、さまざまです。
安易に人を裁いてはならないと、自分に言い聞かせながら、「見えない背景」含みで相手を見るよう心がけたいものです。